手作りパン工房 バーゼル 社本 宜徳
焼きたて提供で地元密着のお店
愛知県春日井市の県道沿いに、緑に囲まれた手作りパン工房バーゼルがある。1994年開業のバーゼルは、焼きたてパンにこだわり続け、地元のみならず県外のお客様からも愛されているベーカリーだ。
フランスパンを1回に100~150本焼いて、それを日に3~4回ほど繰り返すという。土日は400~500本販売しているというから驚きだ。
その中でリベイク商品として大人気なのが明太子フィセルで、焼き立てを食べられる看板商品だ。今回はオーナーの社本宜徳さんにバーゼルのこだわりやこれまでの軌跡、地域に愛され続ける秘訣など、幅広くお話をうかがった。
元々、社本さんのお父さんがパン屋を営んでいたが、社本さんが中学生の頃、お父さんが早くに亡くなり、当時大学生だったお兄さんがお店を継いだという。お母さんが社長業を担い、お兄さんは大学を中退してパン屋の営業を続けた。そんな家族をすぐ側で見ていた社本さん本人も、やがてパンの道へと進むこととなる。
洋菓子の知識があった方がいいだろうという考えから、東京の洋菓子屋さんで三年ほど働いた後、社本さんのお兄さんが経営していたパン屋「モンシェル」に務めた。そこで17年ほど働いたあと、当時所属していたパン作りやパン屋運営のノウハウを学ぶ団体などでの周囲の勧めやサポートを機に独立を決めたという。
焼きたてにこだわり、人気のパンをこまめに焼くことで、一日中焼きたてパンを提供できる工夫をしているという。また、パンの種類も豊富で、開業当初から100種類ものパンを作っていたというが、今や150種類ものパンが店内にずらりと並ぶ。
そうして、パンが選べる楽しみがあることもバーゼルの魅力のひとつだ。また幅広い年代のお客様が来店する地元密着型のお店だからこそお客様の声を丁寧に拾っている。小さいお子様などアレルギーを気にされるお客様のために、それぞれのパンのPOPにはアレルギー表示を丁寧にして、直接お客様から質問されたときも丁寧に答えられるようにしている。
おいしいパンをつくるだけではなくお客様目線でお店を運営しているであろうことが感じられた。
周囲の知恵を借りながらお店を育てた
社本さんはこれまでの職人歴の中で出会ってきた人々との縁を大切にしてきた。
高知に本拠点をおく製パンのノウハウや開発などパン屋運営のあれこれを学べる会社に在籍していたころは、オーブンやミキサーなどドイツ製の輸入機械に触れたり、昔ながらのパン屋さんのやり方以外の製造方法などを学んだ。
いざバーゼルを開業しようかと考えたときには、お金の工面など経営ノウハウの相談に乗ってくれる各アドバイザーがいてくれたことが開業するにあたり心強かったという。
周囲の方々に支えてもらいながらオープンしたバーゼルは…………(続く)
手作りパン工房バーゼル
●所在地:愛知県春日井市東野町2-1-21
●立地:JR線「春日井」駅から車で約10分
●開業年:1994年
●定休日:月・火曜日
●従業員:22人(販売12人・製造10人)
●営業面積:33坪(売場11坪・工場22坪)
●日商:平日35万円/休日60万円
●客単価:平日1200円/休日1300円
●オーブン台数:3台
●ミキサー台数:2台
●パンの種類:150種類(生地16種類)
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