設備投資、どこまでやる?“買う前”に考えるべき5つの視点

設備投資、どこまでやる?“買う前”に考えるべき5つの視点
「新しいオーブンがあればもっと効率が上がるかも…」
「冷凍庫を増やせば、仕込みも楽になる気がする…」
そう思ったときこそ、立ち止まって考えるタイミングです。
パン屋にとって設備投資は“夢の実現”でもあり、“大きな負債”にもなり得ます。この記事では、導入すべき設備かどうかを冷静に判断するための基準と、投資額をどう回収するかの考え方を具体的に紹介します。
まず確認!その設備、本当に“必要”か?5つの判断基準

新設備を検討するときは、次のような視点で「本当に必要か?」を見極めましょう:
- 現状の課題は何か?(→ 売上減?製造の遅れ?人手不足?)
- その設備で課題が確実に改善するか?
- 代替手段はないか?(→ スケジュールの見直し/委託加工 など)
- 維持コストは?(→ 電気代・修理費・保守契約など)
- それを入れて、“売上が伸びる根拠”はあるか?
「便利そう」「他店が使っているから」だけで導入すると、結果的に“使わない高額機械”になるリスクも。
投資金額に対する“回収期間”をシミュレーションしよう

導入を検討している設備に対して、「いつ、どのくらいで元が取れるのか?」を数値で考えることがポイントです。
例)300万円のミキサーを導入した場合
• 時短効果:毎日30分短縮
• 人件費:1時間あたり1,200円
→ 1日600円削減 × 月25日稼働 = 月15,000円の節約
→ 年間180,000円 → 回収期間:約16.6年…
このように、「便利さ」と「経済的効果」は別問題。
逆に、販売数が増えたり、アイテム数が拡大できるなら、回収期間がぐっと短くなることも。
中古機・リース・補助金…“買う以外”の選択肢も検討を!

「欲しいけど新品は高すぎる…」
そんなときは、購入以外の方法も視野に入れてください。
• 中古機の導入:信頼できる業者からの購入であれば十分実用に耐える
• リース・レンタル:初期費用を抑えつつ導入可能。試用的にも◎
• 補助金の活用:小規模事業者持続化補助金や都道府県の設備投資支援
導入を先延ばしにするのではなく、「導入までの道筋を変える」という発想で、無理なく実現可能なルートを探ることが重要です。
導入後の“使い倒す”体制を整えておこう

せっかく導入しても、使い方が不完全では効果は半減。
次のようなポイントも事前に整えておくことが投資成功のカギです:
• スタッフへの使い方研修(手順マニュアル+実践)
• 機械に合わせた商品開発・焼成計画の見直し
• 使用頻度とメンテナンスの記録管理
また、稼働していない時間帯に別の商品を仕込むなど、“稼働率を上げる工夫”も回収速度を早めるポイントです。
まとめ
設備投資は「買うこと」より「どう活かすか」で成否が決まります。
その機械が、“売上を生む”のか、“時間を生む”のか、あるいは“両方”か──。
回収のシミュレーションをして、買わない選択肢も含めて検討することで、後悔のない投資判断ができます。
あなたの店にとって本当に必要な設備か?今一度、冷静に棚卸ししてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味