アンケートから見えた「潰れそうになった理由」とは?

今回のアンケートでは、33名のパン・菓子店のオーナーやスタッフから「お店が潰れそうになったことはありますか?」というテーマでリアルな声を集めました。
その結果、実に約85%の人が「潰れかけた経験がある」と回答。
経営が順調に見えるあの店も、実は過去に深刻な危機を乗り越えていたのかも?

n=33
最も多かった理由は「資金不足(16名)」で、次に「急な人員不足」「原料・光熱費の高騰」「建物の老朽化」「近隣の競合出現」(※その他)などが続きました。
意外にも、「危機は今まで一度もない」と答えたのは5名のみ。
パン屋経営には、日常的にさまざまなリスクが潜んでいることが浮き彫りになりました。
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「資金不足」はなぜ起こる?——実は初期投資と売上計画の見通しが甘かった

「売上が立たない」「初期投資が重すぎた」など、資金不足に陥った理由は様々ですが、多くの人が共通して挙げていたのは、見通しが甘かった点。
例えば「家賃・設備投資を高めに設定しすぎた」「天候や立地の悪影響を読み切れなかった」など、開業時の判断ミスが後を引いたケースが目立ちました。
ある回答者は「路面店は天候に左右されやすいので、百貨店や駅ナカなど販路の多角化が必要だと感じた」とコメント。
他にも「原材料費が高騰しても価格転嫁できず、じわじわと赤字になっていった」という声も。
今なお危機の最中という声も

「危機は解決した」と答えた人は10名にとどまり、「現状維持(16名)」「悪化している(7名)」と答えた人が多く、いまだに問題を抱えながら営業を続けている店も少なくありません。
特に印象的だったのは「建物が古く、雨漏りや揺れがひどく、地震が来たら確実に潰れる」という声。
これは経営面の危機ではなく、物理的なリスク。
つまり「安心して営業できる環境ではない」という現場の声です。
こうした声から見えてくるのは、経営の苦しさは必ずしも一時的ではなく、長期にわたることもあるという現実。
いまは持ちこたえていても、次の一手を打たなければ、再び危機に直面する可能性があるのです。
そこから得た「気づき」こそが、経営の財産

注目すべきは、33名中29名が「何らかの気づきがあった」と答えている点です。
「経営学の必要性を痛感した」「次からは賃貸でなく自分の店を持つことを目指した」「人材確保の重要性に気づいた」など、実体験からしか得られないリアルな教訓が数多く寄せられました。
また、少数ながら「クラウドファンディングを活用して乗り越えた」「副業として菓子教室を始めて販路を増やした」というような柔軟なアイデアも。
現代の経営では、店舗という枠にとらわれない発想も武器になることが伺えます。
まとめ
パン屋・菓子店の経営において、危機は決して珍しいことではありません。
しかし、危機の中で得た気づきや経験は、次のステップへの糧になるのではないでしょうか。
そして、これから開業する方にとっても、「危機はいつでも起こりうる」という前提で、より現実的な準備を進めていただけたらと思います。