フィリングで価値創造！vol.13 カスタードの個性を生かした演出！スイーツ的な付加価値をパンに

2025年12月18日

カスタードの個性を生かした演出！スイーツ的な付加価値をパンに

すぐに使えて実践的。フィリングを活用して美味しく、お客様に求められるパンを作る方法を、エスプランのオーナーシェフ塩田悠樹さんにうかがってきました。

●ESPLAN
神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央4丁目1－7
看板商品は珈琲あんぱん。
パン生地のおいしさを大切にしながら、材料の組み合わせや演出を意識して商品開発を行っている。

カスタード・ノワール

ショコラのほろ苦さの奥に、卵のやさしさ

［生ショコラ生地配合］
強力粉・・・・・・・100%
粗糖・・・・・・・・ 6%
食塩・・・・・・・・ 2%
インスタントドライイースト・・ 0.5%
ココア・・・・・・・・5%
無塩バター・・・・・・ 5%
湯種・・・・・・・・・10%
ドライクランベリー・・ 8%
ホワイトチョコダイス・・ 10%
マカダミアナッツ・・・ 8%
水・・・・・・・・・・70%

［工程条件］
ミキシング L3ML5MH5
油脂 ↓L3
捏上温度 25℃
フロアタイム 40分
ホイロ 30℃75%
ホイロ時間 50分
焼成温度
　上火230℃
　下火200℃
焼成時間 12分

［工程］
① 生ショコラ生地60gを細長く成形する。
② ホイロ後、焼成する。
③ 冷めたら、カットして両断面にクリームチーズ10gを塗り広げる。
④ ふわとろたまごカスタード20gを星口金で絞り、サンドする。

ふわとろたまごカスタードの特長

【POINT1　ふわっと軽い口どけの良い食感】
製法にこだわり、ほぐれ感（ほろほろと崩れていく食感）のある、ふわっとした口当たりと口どけの良さを実現しました。

【POINT2　卵のコクを生かした味わい】
たっぷりの卵と、北海道産の牛乳・生クリームを使用した贅沢な配合です。
卵のコクを生かしたカスタードに仕上げました。

【POINT3　幅広い用途】
しっかりとした保形性がありながらも、軽い食感のため、包み込みやトッピング焼成はもちろん、サンドなど生食でもお使いいただけます。

カスタード・クラカン

香ばしいカダイフと、とろける生乳カスタードのマリアージュ

［湯種バゲット生地配合］
強力粉・・・・・・・・・・80%
フランス粉・・・・・・・・10%
湯種・・・・・・・・・・・30%
食塩・・・・・・・・・・・ 1.9%
インスタントドライイースト・・0.5%
水① ・・・・・・・・・・・ 65%
水②バシナージュ・・・・・ 12%

［工程条件］
ミキシング
　オールイン
　L3ML5MH5
　（バシナージュ）L3ML3MH7
捏上温度 25～26℃
フロアタイム 40分
ホイロ 35℃75%
ホイロ時間 40～50分
焼成温度上火230℃　下火200℃
焼成時間 12分

［工程］
① 湯種バゲット生地60gを丸く成形し、生地の表面を濡らしてカダイフ2gをつける。
② ホイロ後、焼成する。
③ 冷めたら、星口金でプレミアム生乳カスタード30gを円状に絞り、中央にベリーソース10gをのせ、サンドする。

プレミアム生乳カスタードの特長

【POINT1　生乳・卵本来の味わいをお楽しみいただけます】
シェフの手作りカスタードのような、本格的でナチュラルな味わいを目指しました。
生乳の濃厚さ・卵のコクを存分にお楽しみいただけます。

【POINT2　搾りたての新鮮な生乳をたっぷり使用】
生乳とは、乳牛から絞っただけのミルク。
加熱殺菌した牛乳に比べ、新鮮で濃厚な味わいです。
高度な品質管理のもと搾りたての生乳を48時間以内に商品へ加工しています。

【POINT3　とろける口どけ！そのままでも包み込みでも幅広く使えます】
口どけ良く、とろっとなめらかな食感のクリームは、生食のまま美味しく召し上がれます。
包み込みやトッピング焼成も可能で幅広い用途にお使いいただけます。

カスタードのおいしさを主役に構成したパン

2種類のカスタードの特長をそれぞれ生かしたハード系の菓子パンを開発しました。
クリームの味わいを最大限に感じられるよう、歯切れの良い軽やかな生地にこだわりました。
冷やしておいしい設計で、スイーツ感覚でお楽しみいただけます。

「ふわとろたまごカスタード」は卵のコクが感じられ、ビターなショコラ生地と相性が良いと感じました。
「ふわとろたまごカスタード」の甘さに、クリームチーズの酸味を合わせることで爽やかな余韻が広がります。
生地に加えたナッツのカリッとした食感と、クリームの「ふわとろ」感との対比を楽しんでいただけると思います。

「プレミアム生乳カスタード」は非常になめらかで、生乳の乳味がフルーツの酸味と相性がいいです。
生地にカダイフをつけて、見た目の流れるような美しさと、食感のアクセントを感じられるようにしています。

どちらのカスタードも、焼きと生の両軸で展開できることがパン屋さんにとって大きな武器になると思います。
焼成利用は馴染みがありますが、生の利用で洋菓子のような構成美・演出力をパンに取り入れて単価アップを狙ってみてはいかがでしょうか。