“人が来ない”を乗り越えて ― 地方パン屋の採用実践

求人を出しても人が来ない…それでも続けるための「採用術」

「人が来ない」――地方のパン屋や菓子店で、いま最も深刻な悩みのひとつです。
今回、全国98店舗にアンケートを実施したところ、回答の約6割が「同地域の平均と比べて普通」と回答。
しかし、地方ではその“普通”が実際より安い水準になっている傾向が見えました。

たとえば東京・神奈川では「時給1,100円〜」の回答が中心でしたが、北海道・九州では「900円〜1,000円」が多数。
この差が応募率に直結しており、「求人を出しても応募が来ない」という声が特に地方で目立ちました。

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地方では“お金より安心感”。人柄採用がカギに
地方店では「知り合いの紹介」や「口コミ」での採用が根強いこともわかりました。
「常連さんの娘さん」「前のスタッフの紹介」など、信頼の輪の中で人材が集まるケースが多く見られます。
こうした背景には、「都会のように求人媒体を見て応募する習慣が少ない」「お店の雰囲気を見て安心してから応募する」という地方特有の文化が関係しています。
ハローワーク経由での応募も依然として多く、「地元の安心感」や「知っている人の紹介」が、金額以上に大きな採用要因になっていることが明らかです。
SNSが“距離”を縮める――Instagramで共感採用が増加中
アンケートでは「Instagramから応募があった」という声が多数寄せられました。
特に若い世代は求人サイトよりも「SNSでお店の世界観を見て応募する」傾向が強まっています。
実際、パンやお菓子の写真に「#スタッフ募集」などのタグを添えて発信したところ、
「パンが好きで」「お店の雰囲気が好きで」と応募する人が増えたという報告も。
SNS採用は広告費がかからず、“お店のファン”がスタッフになる理想的な形。
GoogleビジネスプロフィールやInstagramの求人投稿を活用することは、
「採用=ブランディング」の時代における最前線といえるのではないでしょうか。

「張り紙」「学校連携」など、地域密着のアイデアも
意外に効果的なのが、昔ながらの「張り紙」や「学校連携」。
「張り紙だけで人が集まる」「地元高校の掲示板に貼ったらすぐ決まった」など、
地域の“リアルな接点”が強みになるケースも少なくありません。
一方で、求人誌やIndeedなどのWeb媒体への掲載も併用している店舗が多く、
「応募者は少ないが、質が良かった」「SNS+張り紙の両輪が効果的だった」との声も。
地方だからこそ、“人と人のつながり+ネット”のハイブリッド型が成功の鍵といえそうです。

まとめ
今回のアンケートから見えたのは、地方のパン屋における採用は「時給」よりも信頼・共感・発信力が重要だということ。
・地域では「紹介・口コミ・ハローワーク」が依然として有効
・SNS(特にInstagram)は共感採用を生み出す新たな手段
・“地域密着+ネット”の組み合わせが、今後の定番モデルに
「人が来ない」問題は、工夫次第でチャンスにも変わる。
小さなパン屋だからこそできる“つながり採用”を見直すことが、これからの人手不足時代を乗り越えるヒントになりそうです。
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