「原価を下げる」より「価値を上げる」——新しい発想のコスト意識

“原価3割”の常識を越える、利益を守るもうひとつの方法

「原価率はだいたい30%前後」——今回のアンケートでは、47名のパン屋から寄せられた回答のうち、約半数が「31〜35%」と回答しました。
つまり、業界の平均原価率は“3割”前後がひとつの基準になっています。

しかし注目すべきは、そのうち4割近くが「高い」と感じているという点。
電気代やバター、小麦粉の高騰が続く中、原価率を下げようとしても限界があります。
では、どうすれば利益を守れるのか。
回答の中で目立ったのは「仕入れ先の見直し」だけでなく、“商品の価値を上げる”方向にシフトしている声でした。
こちらのホンネから回答を見てみよう

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「削る」から「活かす」へ——パン屋が見つけた新しい発想
「生地の味を立たせるパンを増やした」「見た目で価値を感じてもらえるよう工夫している」——
そんな回答が目立ちました。
一見シンプルな取り組みですが、ここに“価値で原価を吸収する”という新しい考え方が見えます。
原価を削るよりも、1つあたりの単価を上げる、「食べてみたい」と思わせる見せ方をすることが、結果として利益を守る。
たとえば「素材の味を活かしたシンプルなパン」は、材料費を抑えつつ高評価を得やすい。
また、ストーリー性のある商品づくり(地元の小麦や生産者とのつながりなど)は、価格への納得感を高めます。
“価格”ではなく“納得感”で選ばれる時代へ
アンケートの自由回答には、「値上げしてもお客様に納得してもらえるように努力している」「見た目・香り・食感で“ちょっといいパン”と感じてもらう」といった声が並びました。
この“納得感”こそが、これからのパン屋に求められる要素です。
単に安くするよりも、「なぜこの価格なのか」「どんな想いで作られているのか」を伝えることが、顧客ロイヤルティを高めます。
Instagramや店内POPなどで素材や製法を伝えるだけでも、「この店のパンは特別」と思ってもらえる。
“見せ方”や“言葉の工夫”もまた、新しい時代のコスト戦略と言えます。

“原価を下げる”はもう古い?これからは“価値を上げる”時代に
多くのパン屋が「原価を下げること」に限界を感じています。
でも、今回のアンケートでは、「商品力」「魅せ方」「ストーリー」で乗り越えようとする姿が数多く見られました。
価格競争に巻き込まれないために必要なのは、削る努力ではなく、伝える努力。
「このパンにこの価格を払いたい」と思ってもらえる力こそ、パン屋が持つ最大の武器なのではないでしょうか。
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