イングリッシュマフィンの歴史と魅力を探る

イングリッシュマフィンは、朝食やサンドイッチの定番として親しまれているパン。
本記事では、イングリッシュマフィンの起源と歴史、そしてシェフたちにも新たな発見があるような雑学を紹介します!
イングリッシュマフィンの起源と歴史

「イングリッシュマフィン」と聞くと、当然イギリス発のパンだと思いがち。
もともとのルーツは確かにイギリスの「マフィン(toasting muffin)」ですが、現在私たちが一般的に目にするイングリッシュマフィンのスタイルは、アメリカで発展・定着したものです。
特にアメリカでは、19世紀末にイギリス移民のサミュエル・バサムが「Thomas’ English Muffins」を販売したのが普及の始まり。
パン生地にコーングリッツをまぶして焼く独特の製法や、フォークで割って焼くという食べ方も、アメリカ文化の中で広がりました。
ちなみに、イギリスでは「イングリッシュマフィン」と言ってもほとんど通じません。
甘いカップケーキのような“マフィン”を思い浮かべられることが多く、イングリッシュマフィンは「トースティングマフィン」や「マフィンブレッド」と呼ばれることが一般的です。
「イングリッシュマフィン」は、実は“アメリカ英語の造語”なのです。
イングリッシュマフィンの製法と特徴

イングリッシュマフィンは、ストレート法で仕込む高加水生地(加水率約65〜70%)が基本。
気泡をつぶさないように発酵管理が重要で、過発酵には要注意です。
焼成方法も独特で、オーブンではなく鉄板と天板で上下からプレスするように焼くのが伝統的。
低温でじっくり火を通すことで、特有のもっちり食感をキープします。
表面にまぶすコーングリッツやセモリナ粉は、香ばしさとともにベタつき防止の役割を果たします。
特徴的なのは、焼き上がった時点ではまだ風味が控えめなこと。
トーストして初めて、香ばしさと食感が完成するパンなのです。
だからこそ、割り方にもこだわりたい。
フォークで裂くことで、表面がザクザクになり、トースト後に最高の食感が生まれます。
イングリッシュマフィン~マフィンマンの歌~

「Do you know the muffin man?」
――この童謡、一度は耳にしたことがあるのでは?
この歌に登場する“マフィンマン”は、19世紀のイギリス・ロンドンで実在した行商人。
彼らは、「トーストマフィン(toasting muffin)」と呼ばれる、イングリッシュマフィンの原型のようなパンを売り歩いていたのです。
当時は家庭にオーブンがなかったため、パンやマフィンは外から買うのが一般的。
マフィンマンは、焼きたてのマフィンを籠に入れて、手に持った小さなベルを鳴らしながら家々を訪ね歩く、まさにパンの伝道師のような存在でした。
面白いのは、この「マフィン」が、アメリカでブランド化され「イングリッシュマフィン」として広まっていくこと。
つまり、童謡のマフィンマンが売っていたパンこそ、イングリッシュマフィンのルーツとも言えるんです。
サクッとまとめ!
名前の由来や製造の工夫、そして童謡「マフィンマン」の背景にある行商文化まで掘り下げてみると、この一枚の丸いパンが、多くの時代や人々の暮らしとつながっていることに気づかされます。
この記事を通じて、パン業界の皆様にイングリッシュマフィンの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです!