5分でわかるマリトッツォ ~歴史・起源・雑学~

マリトッツォの歴史と魅力を探る

生クリームをたっぷりと挟んだ丸いパン――近年、日本でも大ブームとなった「マリトッツォ」。
その華やかな見た目から「インスタ映えスイーツ」の代表格として注目されました
本記事ではそんな「マリトッツォ」の起源や歴史、魅力とともにシェフたちにも新たな発見があるような雑学を紹介します。
マリトッツォの起源と歴史

マリトッツォはイタリア・ローマ地方発祥とされ、もともとは四旬節(イースター前の断食期間)に食べられていた菓子パンがルーツといわれています。
生地はオリーブオイルやはちみつで仕込まれ、素朴で甘いパンでした。
断食といっても、当時の信徒にとっては「肉を避ける」ことが中心で、オイルや小麦を用いたパンは許されていたのです。
その後、18世紀頃からパンにクリームを挟む形が広まり、現在のマリトッツォの原型となります。
もともと修道院の食文化から派生して、家庭や街角のパン屋に広がった点は、カンノーリやパネットーネなど他のイタリア菓子と似ています。
パン屋にとっては「宗教行事と共に育ったパン」という文脈が理解できると、商品開発にも説得力が増すでしょう。
マリトッツォの製法と特徴

マリトッツォの最大の魅力は、ふわりと軽いブリオッシュ生地と、山のように盛られたクリームとの絶妙なバランスにあります。
ベースとなる生地は卵やバターを使ったリッチな配合ですが、重たくなりすぎるとクリームとの調和が崩れてしまうため、製法には工夫が求められます。
日本の現場では、油脂をやや控えめにしたり、牛乳やオリーブオイルを加えて口どけを軽く仕上げる手法がよく採用されます。
発酵も大切なポイントで、二次発酵をしっかりととることで、焼き上がったときに柔らかく弾力のある食感を実現できます。
名前の由来は「夫」? 甘い贈り物の文化

「マリトッツォ(Maritozzo)」という名前の由来はイタリア語の「マリート(marito=夫)」から来ているとされます。
古くは、婚約中の男性が女性に贈る習慣があり、そのパンの中に指輪や小さな宝飾品を忍ばせることもあったとか。
まさに「甘い愛の証」としての意味を持つパンだったのです。
この背景を知っていると、店頭POPに「愛のパン、マリトッツォ」などと書くだけでストーリー性が生まれそうですね。
サクッとまとめ!
マリトッツォは「ローマの伝統食」から「甘い贈り物」、そして「現代の映えスイーツ」へと姿を変えてきました。
その背景には宗教的な行事や婚約文化といった、人々の生活に根ざした歴史があります。
この記事を通じて、パン業界の皆様にマリトッツォの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです