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1日●万円稼ぐには? 売上目標から逆算する経営設計

1日●万円稼ぐには? 売上目標から逆算する経営設計

1日●万円稼ぐには? 売上目標から逆算する経営設計

お店をやっているからには売上を上げていきたい。
そう漠然と日々を回すだけでは、売上や利益の改善は難しくなっていくのではないでしょうか。
具体的な数字をイメージして店舗運営をしていくことが大事でしょう。
数字が苦手な人でもわかりやすいように、AIツールを活用して定量的に考えてみました。
また、エルポールの森シェフとプチ・アンジュの津金シェフにパン屋さんの経験の中で意識してきたことを取材しました。
ぜひ参考にしてくださいね。

数字に基づいた理屈や戦略を考えていきます!

現場の声や実感した経験談をお話します!

●ブーランジェリーエルポール オーナーシェフ 森 将雄 さん

2014年に3坪の小さなお店で開業。
開業当初は認知度がなく日商4万円ほど

オープンから半年後 日商10万円程度

2021年、36坪のお店に移転。
移転早々日商40万円

2025年現在 日商50万円

●プチ・アンジュ 国立店 オーナーシェフ 津金 一城 さん

プチ・アンジュ国立店(46坪)を2009年に立ち上げ。
平日30万円、土日祝50万円台からの売上スタート

開業直後はスタッフの多くが未経験者で製造が追いつかずジレンマ

スタッフ育成が進み、製造・販売体制の安定により売上アップ。
2025年現在は平日50万円、土日祝100~120万円

売上目標は感覚ではなく数字に基づこう 1日いくら売れればやっていけるのか?

売上を上げるにはどうしたらいいかという疑問についてAI ツール(ChatGPT )くんと壁打ちをしながら考え方について調べてみました。

【STEP1】
月にいくら利益を残したいのか考えよう。

【STEP2】
家賃、人件費、材料費など固定費、変動費を算出する。

【STEP3】
逆算して月に必要な売上を算出(目標月商)。

【STEP4】
目標月商を営業日数でわって、一日当りの必要な目標売上を考える(目標日商)。

【STEP5】
理想の売上(目標日商)と、現在の売上を比較して、何が足りないか、どうすればよいかを具体的に考える。

逆算して考える月商や日商と 具体的な行動

「このままで本当に店を続けられるのか」
「もっと売上があれば…」など、漠然とした不安に、答えを出す方法があります。
それは、まず1日いくら売る必要があるのかを逆算して知ることです。
ゴールを明確にすれば、日々の売上にも意味が生まれます。

「月にいくら利益を残したいのか?」という視点が大切です。
パン屋オーナー自身の生活の水準、借入の返済がある場合もあるでしょう。
その考慮すべき点を踏まえて、月にいくら手元に残したいかを考えて、家賃や人件費、材料費などの固定費・変動費を引き、必要な売上を割り出します。

おおまかでもよいので具体的な数字のシミュレーションをしてみましょう。
目標の月商がわかれば、それを営業日数で割ると目標の日商が判明します。

目標が見えたら、それを「行動」に落とし込みます。
1日●万円売るには、どのような販売構成(客数や客単価)が必要なのかを考えます。
1日に●人も来るかどうか、客単価が●円にするにはどうしたらよいかと数字から具体的な動きを考えていくことが重要です。

日商によって課題は異なるし 戦略や注力ポイントは異なる

日商によってとるべき戦略や考え方が大きく変わります。
日商の規模別に「店舗規模や立地」「よくある課題」「向いている試作」などを整理してみました。

日商規模によって フェーズを区切り考えてみよう

ひとくちに「日商を上げたい」と考えても、お店の規模やオペレーション体制によって課題感は異なってきます。
そこで課題を整理しやすくするために、売上規模にわけての課題感や戦略を整理してみました。

日商5万未満規模のお店のフェーズとして考えられるのは、まず「売上を上げること」そのものが最優先です。
まずは粗利率が高く数量の少ない商品での売上につながる工夫を考えることや、商品力をあげて客単価をアップする工夫、お客様の認知をあげて客数を増やす工夫が必要でしょう。

日商8万円程度になると、必要な業務が増えていくので、人員の増員を考えることも出てくるでしょう。
そのフェーズだと、回転率や仕込み量の最適化を考えていく必要性が出てきそうですね。
人員の分業体制と売れる商品の見直しが必要になってくるかもしれません。
日商12万円程度以上になると、利益率・業務負荷・人件費比率を分析し、より細やかな数字に基づく意思決定が求められるでしょう。

売上が増えても 利益が増えていないにご注意

売上が増えていても利益があまりでていないというケースがあるので注意が必要でしょう。

お客様の満足度を考えると、利益率だけで商品構成を考えることはできないかもしれませんが、たくさん売れているけど利益があまりとれていない場合や、人件費がかさむわりに利益が出ない場合、時間に追われすぎている場合など、課題があるのであれば、商品構成やオペレーションを見直すべきでしょう。
数字から逆算して検討してみてはいかがでしょうか。

また粗利率が高く、時間に追われず安定的に売れる商品があるのであれば、それを強めるのも良いでしょう。
お店によっての売れ筋や、オペレーション体制によって何が効率的かは、状況が異なるので一概にこうすればよいとは言い切れません。

だからこそ、1日いくら売れれば、従業員に還元しつつ、オーナーも生活を守れるのか売上を設計しながら経営していくにはどうしたらよいか定量的に考えてみてはいかがでしょうか。

目標がはっきりしたうえで、課題も判明すれば、適切な対策を講じることができます。
商品構成の意図や、価格設定の根拠は何なのかをはっきりさせることが、売上や利益の改善につながります。

自店の現状から日商1万円を上げるには 何が必要か対策を具体的に考えてみる

1日1万円増やすにはどうしたらよいのでしょうか。
さまざまなアイディアや、実際にシェフが工夫していることを紹介します。

具体的な数字から、具体的な行動を考えよう!

お客様の立場に立ってできる工夫を

●商品ラインナップで上げる

① 数量限定商品を用意する(プレミアム感を演出)
② 高単価な「ごちそうパン」を置く
③ ラ ンチ需要を狙って惣菜系・食事系パンを増やす
④ ついで買いを促進する焼き菓子
⑤ セット販売で「買う理由」をつくる(例:スープ+バゲット)

●陳列・導線で上げる

① レジ横に焼き菓子を配置
② あと1品を誘導するPOP
③ 買い足し導線を意識した棚配置
④ 充実した商品ラインナップで売り場演出
⑤ 焼き上がり時間予告でわくわく感

お店の状況次第で客単価はすぐ変わります。

エルポール 森シェフ

たとえば、お客様が朝8時に来店したとして、品揃えがそろっていない
としましょう。

そのお客様は1500円くらい購入するポテンシャルがあったとしても、売場の商品の種類が少ないために、じゃあこれくらいでいいかと1000円程度に購入が落ち着いてしまうことがあります。

同じお客様でもお店の状況によってお店に落ちる金額が変わってしまうということを意識したほうがよいでしょう。
なので、当店はオープン時間から商品ラインナップを充実させるように工夫しています。

具体的な数字から 具体的な行動を考えよう

売上アップというと、大きな目標に思えますが、「+1万円」ずつの積み上げをどうするかを考えるのが現実的です。 1日1万円、売上を上げるための方法のひとつとして、客単価を上げる方法があります。

たとえば、客単価が800円だったとして1000円に上がると、+200円が約50人いれば1万円になります。
なので、「あと1品買ってもらう」にはどうしたらよいかと考えることや、単価をあげるためにセット販売を活用できないかと数字で考えることで具体的に「今日、明日なにを変えるか」が明確になってきます。
そのうえで、お客様の立場に立って、どうすればより多くの商品を買ってもらえるかを考えるのが大切です。

商品ラインナップで工夫できることはないか、陳列・導線で工夫できることはないか、接客・販売で工夫できることはないか具体的に考えていきましょう。
様々な工夫のアイディアとシェフの声を集めているので、あなたのお店の参考になる部分があればぜひご活用ください。

接客・販促できることを徹底する

●接客・販促で上げる

① 「おすすめありますか?」に即答できる接客トーク
② 常連さん向けの“おすすめ提案”を意識する
③ SNSなどでおすすめ提案を意識する
④ パンのストーリーを添えたミニポップ提示
⑤ 雨の日などは「ポイント2倍」など来店促進策

記念日×試食=来店動機!「売れる日」を自らつくる販促術を考えましょう。

プチ・アンジュ 津金シェフ

“今日は〇〇の日”にちなんだパンを用意します。

ネットで調べれば毎日のように記念日がありますよね。
それを上手くパン屋に落とし込むんです。
小さなイベントでも来店動機になります。
毎日十数種類の試食を用意していたこともあります。

お客様に「食べてみて、気に入ったら買ってください」と声をかけてきました。

チャンスはどこにでも! 近隣店との関係性を作っておきましょう。

エルポール 森シェフ

開業したばかりのころ、売り切れなくてロスになったとき、「近隣の飲
食店にお客様に渡してください。」と無償で渡すこともありました。

それがきっかけで、卸の仕事を依頼されるようになったこともあります。

価格戦略・メニュー設計を工夫する

●価格戦略・メニュー設計で上げる

① 原価率が低く、印象の良い商品は価格を上げてみる
② 人気商品の大きめサイズバージョンを用意
③ イートインやテイクアウトの価格差を設ける(+コーヒー販売)
④ まとめ買いが自然と生まれる価格帯設計(例:3個で1000円など)
⑤ 「○○フェア」などイベント的に高単価商品を押し出す。

原価がかかったとしても、それ以上に売上を上げるという意識が大切です。

エルポール 森シェフ

原料コストは売上に比例して増加するものではありますが、それ以上に売上が上がっています。

そのようにして余剰金が出たところで、財源を確保できます。
財源があれば機械への投資や人への投資することもできます。
その投資がさらなる売上アップや利益の確保につながると考えます。

売上を支える オペレーションと人海戦術

売上を支えているのは、店舗運営をしている従業員です。
人材をどのように育てるのか、また持続可能な店舗運営について考えています。

売上を支えるスタッフの育成

●「作れない」から「売れる」へ。 売上を支える“人づくり”を意識しました。

プチ・アンジュ 津金シェフ

開店当初は未経験者ばかりの製造チームで、売上を伸ばしたくても「作りきれない」もどかしさがありました。

最初の頃は、販売の要望に製造が応えられないことも多くて…。
それがスタッフの教育と経験で少しずつ改善されていったんです。
販売スタッフを社員化し、商品ごとの反応やお客様の声を製造チームと共有する体制を構築しました。
現場全体が“売れるものを作る”意識で連携することで、徐々に数字が上向いていきました。

●アルバイトさんがリベイク焼成

エルポール 森シェフ

アルバイトさんにも初日にオーブンの使い方を教えています。
例えば、リベイク用のパンはリターダーに入れて冷蔵しておき、売
り場の状況に応じて、アルバイトさんが手が空いた時にリベイクして売り場に並べています。

リベイクのパンだけでも20種類ほどあり、オーブンの横にある焼き時間と仕上げの工程一覧表を見ながら調理をしています。
2台あるオーブンのうち、1台の上2段はリベイク用に空けており、温度は一定にしており、入れるだけの状態にしています。

持続可能な働き方へ

●これまでの経験をもとに数値化&効率化

プチ・アンジュ 津金シェフ

現在では、単に売上を追い求めるフェーズから、持続可能な働き方と効率性を両立するステージになっています。
営業時間は7時開店から9時開店に変更し、残業削減とスタッフの生活リズム改善に踏み切りました。
目指すのは、「今の日商を保ちつつ、ロスを減らす経営」です。
毎日主力商品の製造数を事前に見える化し、販売・製造・調理がそれぞれの数字をもとに動いています。
追加製造もリアルタイムで連携し、無駄なく店を回せる体制にしています。

売上を上げることができた先は持続可能性を考えよう

売上を上げるためのアイディアや工夫がたくさんあったとしても、それを実行する店舗スタッフがいなければ始まりません。
その店舗スタッフも経験値があればうまくいくかもしれませんが、開業したての頃や、未経験者が多い場合は理想の動きかたにならない場合も多いでしょう。

その場合はスタッフの教育が重要になりますし、経験が浅い人でもうまくオペレーションができるようにするにはどうしたらよいかの工夫を考える必要があるでしょう。

また、大型の店舗や繁盛店の場合は売上を上げ続けるということだけでなく、長くお店を続けていくにはどうしたらよいかを考えるフェーズが出てきます。
大きな店舗は関わる従業員が増えていくと思うので、従業員の働き方が無理のあるものになっていないかを考えていきましょう。

お店のオーナーも従業員もどちらにとっても幸せな働く環境になるにはどうすればよいかという視点が持続可能なお店の運営につながっていくでしょう。

1日●万円稼ぐには? 売上目標から逆算する経営設計

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