ブーランジェリー・エルポールのオーナーシェフ森将雄さんに
売場のこだわりについてお話をうかがいました。

ブーランジェリー・エルポール
オーナーシェフ
森将雄さん
平台は中長期的に売りたい戦略的商品を置いている

店内の目立つ場所に置いている平台は売り込みやすい場所なので、中長期的に育てたい戦略商品を置くようにしており、お店の売上の中でも柱となるようなスペースです。
売場を街でイメージすると銀座の一等地というようなイメージです。その場所にあることで自然とお客様が来る場所なので、手にとられやすく、売上が最も上がるスペースです。
そのようなたくさんの数が売れる一等地スペースなので、アイドルの総選挙のようにどのパンを置こうかよく吟味しています。
逆にいうとそのような一等地だからこそ、そこに置かれるパンはそこまで入れ替わりが多いというわけではありません。
既存棚にこそ新商品を散りばめて相乗効果で売上アップ

逆にどこで売場の変化をつけているかというとL字棚の既存棚です。
平台を注力していて、それ以外の既存棚は対策が手薄になっているお店もあるのではないでしょうか。既存棚を効果的に機能させることで売上がかなり変わります。
新商品を陳列するとき、多くは平台などによく売れる場所に置くというやり方をしているお店が多いと思いますが、当店はあえて、新商品を既存のL字棚に散りばめて陳列しています。
お店によくくるお客様こそ、よく買う商品だけでなく新しい商品がないかなと売場を探してくれます。
既存棚に新商品が散りばめられていると、宝さがしのように売場を注意深く探してくれるので、その相乗効果で新商品だけでなく既存商品も手にとられやすくなります。
あえて入口すぐの場所に冷ケースで高単価サンドイッチ

入口すぐに冷ケースを置いているのですが、そこにも狙いがあります。
お店に入ったばかりのお客様が目につく場所で、そこに手に取られやすいサンドイッチなど高単価商品を置きます。トレーにまだほとんど商品を乗せていない状態なので手に取られやすいですし、客単価が上がりやすくなります。
もし、冷ケースがお客様の動線の最後のほうにあったとすると、お客様のトレーがいっぱいになっていればサンドイッチがとられなくなってしまうので、それを防ぎたいという気持ちもあります。
1種類のパンを置くスペースを大きく取りすぎない

パンの種類が多いので、パン1種類に売場のどれくらいスペースを割り当てるかというと15~20cm×20cmくらいのスペースで1種類とし、種類が多く売場に並ぶようにしています。
パンを焼き上げて、トレーにのせたままそのまま売場に陳列する方法もあるかと思いますが、トレーの中のパンがとられていけばいくほど、トレーの中の空白で、品揃えがさみしく見えてしまう場合があると思います。
売場ではたくさんのパンがあってお客様にわくわくしてほしいので、品揃えを意識しています。
売場はパンを並べるストッカーではないので、1種類のパンのスペースは大きくはとりません。
売場に必要な分だけ並べ、残りは厨房内などストックしておき、商品が売れたときにまた追加して並べると、動きのある売場の印象にもなります。
思わず手に取りたくなる攻撃力のあるパンをピッチ上に投入
ここぞというタイミングで商品を投入して、動きのあるわくわくする売場を演出することもあります。
サッカーでいうと、点数を取りに行きたいというタイミングで決定力のある選手を投入するかのようなイメージです。
お昼時などお客様が混み合う時間帯に思わず手に取りたくなるようなダメ押しの商品のパンを出します。
最近やっているのはトマトベースの生地の丸パンに十字フリットをいれて、フォンデュソースをしみこませたパンで、ラクレットチーズがスチーム焼成でダラッととろける、お腹がすいているタイミングで、この攻撃力はすごいだろ、絶対食べたくなるようなパンだろって思いながら提供しています。
少しの工夫の積み重ねが客単価UP→売上UPにつながる
平台の戦略商品の吟味、L字棚で新商品宝さがしワクワク効果、入口すぐ冷ケースの客単価アップサンドイッチ、多品種の品揃え効果、ダメ押しの決定力のあるパンなど、工夫の積み重ねが、客単価アップにつながり、売上も伸びていきます。
最近客単価が1900円くらいにまで伸びていました。
お店の売場でまだできることはあるのではないか、商品の工夫でまだできることがあるのではないかと追求していくことが大切だと思います。
取材店舗

ブーランジェリー・エルポール
埼玉県越谷市千間台西2-19-12
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この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味