
お客さんは地域の中だけじゃない。 今やパンは、「会いに行く」商品から「家に届く」商品へ。
“サブスク”という言葉にちょっと引いていたパン屋さんも、 「定期便で全国発送」「在庫調整に使える」「冷凍でおいしいパンが届く」と聞けば、 一気に現実味を感じるはず。
今回は、パンの定期配送サブスクが広がっている理由と、リテールベーカリーが取り組むうえでのリアルな視点をお届けします。
「サブスクでパンを売る」って、どういうこと?
パンのサブスクリプションとは、簡単にいえば「冷凍パンを月1〜2回、定期的にお届けする仕組み」。
利用者は、全国の人気ベーカリーのパンを“おまかせセット”で楽しめる一方、パン屋側は以下のような効果を得ています:
繁閑の差をならす販路(毎月一定数の出荷)
地方から都市部へ直接リーチ(認知・ファン化)
冷凍ストック前提なので計画生産がしやすい
店舗以外の売上比率を作れる(人件費を抑えつつ)
つまり、“焼いたその場で売る”スタイルとは別の軸を持てるようになる、というわけです。
冷凍パンは「味が落ちる」は、もう昔の話

「冷凍パンって、やっぱり味が落ちるよね…」と感じるのは、過去の印象かもしれません。
最近では、冷凍専用レシピや焼成後すぐに急速冷凍する工程の進化により、“冷凍でもおいしいパン”が増えています。
ポイントは以下の通り:
「焼成冷凍」と「半焼成冷凍」で食感や香りが変わる
油脂分の高いリッチ系・ハード系が冷凍向き
個包装×リベイク方法を伝えることで味が最大化
冷凍を前提とした設計であれば、むしろ「焼きたてよりも再現性が高い」という評価を得るケースもあるほどです。
委託・OEM?自社で発送?始め方は“ひとつじゃない”

全国配送を前提とした事業、と聞くと「ハードルが高い」と感じるかもしれませんが、実は参加方法は多様です。
🌟 よくある3パターン:
❶委託配送。梱包・注文・集客は代行される。
❷地域商社・観光連携事業と組む
→ 地元特産として冷凍便に乗せる。自治体との共同PRも。
❸自社サイトやSNSで定期便モデルを展開
→ 常連+遠方ファン向けに「月1冷凍パン便」を直販。
規模や人手に応じて、小さく始めて軌道に乗れば広げる形も可能です。
在庫ロスが減った、売れ残りが売上に変わった…現場の声

導入したパン屋の多くが実感しているのは、
「売れ残り」が「商品」になる感覚。
・店舗で売れ残ったパンをカット&冷凍し、サブスク用に梱包
・あえて“余りそうな日”に多めに焼いて、余剰をサブスク用に確保
・売れ筋が見えてきたら、冷凍専用商品を設計して定番化
冷凍が前提になることで、逆に「作り置きが価値になる」という新しい考え方が広がっています。
【まとめ】

サブスクは“都会の商売”じゃない。
パンの魅力を、冷凍という手段で届けることが、
地方のパン屋にとって、チャンスになる時代です。
定期便だからこそ、計画的に作れる。
冷凍だからこそ、遠くへ届けられる。
まずは、余ったパンをひとつ、冷凍してみるところから。
そこから“全国に届けるお店”の第一歩が始まるかもしれません。
【参照元URL一覧】
マイナビニュース:パンのサブスク特集
https://news.mynavi.jp/article/20220304-2272336/
PR TIMES:冷凍パン定期便サービス「パンスク」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000023945.html