
バター香る菓子パン、焼きたてのカンパーニュ。
でも、その魅力を包む「袋」は、時代の流れに合っていますか?
いま、パン業界にも“脱プラスチック”の波が押し寄せています。
再生素材・紙袋・生分解性プラスチックの活用──
それは単なる環境配慮ではなく、「選ばれるパン屋になる」ための選択肢かもしれません。
脱プラ包装は“社会貢献”ではなく“販売戦略”
これまでのパン袋、実は“思っている以上に目立っている”ようです。
菓子パンの透明袋に印刷された「PP」マーク
焼き菓子を包むナイロン系フィルム
大袋の中にさらに袋、さらに帯紙…
お客様の中には「パンは美味しいけど、ゴミが多い」と感じている人もいるんだとか…。。。
最近ではエコ包装を“売り”にするパン屋も増加中。
とくに都市部や子育て世代の顧客が多い店では、「簡易包装歓迎」「袋不要」の貼り紙を出すだけで、共感と信頼を得られる場面が増えています。
小さな店でもできる、3つの「脱プラの工夫」

「うちでできる範囲でやってみたい」という方へ。
パン屋でよく見かける“小さな工夫”を紹介します。
1)クラフト紙のミニ袋を一部商品に導入
クッキーやスコーンなど、脂の出にくい焼き菓子は紙袋で十分対応可能
スタンプやシールで“手作り感”を演出すれば、ギフト需要にもマッチ
2)「マイバッグ持参で5円引き」キャンペーン
小さな割引でも反応は◎
エコバッグ提示者には、シールやスタンプ特典でもOK
若い層・子育て層に好印象
3)「必要な分だけ」の個包装へ
店頭ポップで「まとめ包装できます」と一言添える
お客様の会話のきっかけになり、「選ばせる工夫」が生まれる
生分解性素材や“見せる”袋、導入のポイント

「素材そのものを変えたい」という声も増えています。
最近注目されているのが以下のような素材です。
🌱PLA(ポリ乳酸):とうもろこし由来。透明性もあり、常温焼き菓子などに使いやすい
🧻バガス紙:サトウキビの搾りかすを使った紙。手提げ袋や包み紙に
🪵グラシン紙:油を通しにくく透け感もあり、エコでも“美味しさが見える”袋に使える
ただし…
湿気・油分への対応力
強度と保管性(特に梅雨時期)
ロット数・単価
…などは慎重に検討を。見た目が良くても、現場の使い勝手が合わないと長続きしません。
包装が“ブランドの一部”になる時代へ

いまや「包装=ブランディング」の時代です。
たとえば…
「紙袋+店名スタンプ」のシンプル包装が“映える”とSNSで話題に
「環境配慮」のひと言が、地元イベントでの売上を後押し
「過剰包装ナシ宣言」でリピーターが増えた店も
包装は「パンそのもの」ではありませんが、
“誰に届けたいか”を語る、もうひとつのメッセージツール。
それを、エコという文脈で上手に使う時代がきています。
【まとめ】

脱プラスチックは、無理にやるものではありません。
でも、「選ばれるパン屋」になるためにできることがある。
パンの魅力をちゃんと伝える包み方。
誰かが“その姿勢”に共感してくれる包装。
それが“うちのパン”のファンを、またひとり増やすかもしれません。

【参考URL】
テンポスフードメディア:パンの包装のエコ転換事例
https://www.tenpos.com/media/eco-packaging-bakery/
Ranpak:紙vsプラ 包装素材の選び方
https://www.ranpak.com/jp/blog/2023/02/09/plastic-vs-paper-packaging/
日本バイオプラスチック協会:生分解性素材について
https://www.jbpa.or.jp/about/biodegradable.html