
「売りたいけど、スタッフがいない」──そんな悩みを抱えるパン屋にとって、新たな可能性が広がっています。店員が常駐しない「無人販売所」や「パン専用自販機」など、新業態が静かに浸透中。
冷凍パンやリテールベーカリーの商品を活かしたこれらのモデルは、販路の多角化や人件費削減にもつながるとして注目を集めています。
人手不足の時代に、“販売”だけ切り離す選択肢
無人販売所──スペースと冷凍庫があれば始められる?

パン屋の負担を抑えつつ、販売チャンスを拡大する方法として今注目されているのが、「冷凍パンの無人販売所」です。
遊休不動産や商業施設の片隅などに冷凍ストッカーを設置し、全国各地のパンを週替わりで提供するスタイル。
店側は冷凍対応の商品を出荷するだけでよく、スタッフの手を煩わせずに“営業時間外”にも売れるチャネルを持てるのが強みです。
設置・運営は他社との連携で進められる場合も多く、「うちの商品を試してもらう場」として活用するベーカリーも増えています。
食パン専用自販機、ローカルで拡大中

一方で、冷凍ではない「常温販売」のスタイルとして話題を集めているのが、特定商品に特化した自動販売機の導入。
例えば、密封包装された食パンや焼き菓子など、保存性の高いアイテムを自販機で提供する事例も増えており、
駅前や観光地、スーパーの一角などで見かける機会も増えました。
「営業時間外にも買ってもらえる」「リピーターが多い」「置き場所を選ばない」など、手応えを感じる声も。
“人がいないと売れない”という常識を超えていく

無人販売は「接客なしでも売れるのか?」という不安もありますが、実際に始めてみた店舗では「新たな層へのアプローチになった」との声もあります。
特に共働き家庭や夜間に買い物をする層、遠方のパン好きユーザーに向けて、自販機や無人販売所は“静かに売れる”チャネルとして機能します。
もちろん、「無人で売れるのは一部の商品だけ」と割り切り、ラインナップを絞って展開することも可能。
一人でも多くのお客様に届けるための“分身店舗”と捉えると、次の展開が見えてくるかもしれません。