「健康を意識しているけどパンは食べたい」というニーズに応える、“糖質オフ・高タンパク質”パン。最近では街のパン屋でもじわじわと導入が進み、新たな来店理由になりつつあります。無理なく始められる実例とともに、その可能性を掘り下げます。

「食べたいけど我慢している人」こそ、実は見込み客
パンは好きだけれど、糖質やカロリーを気にして控えている——そんな声を、お客様から聞いたことはありませんか?
ここ数年、糖質やタンパク質を意識した食生活を送る人が増えており、「食べても罪悪感のないパン」「夜に食べられる軽いパン」への関心が高まっています。
都市部では、スーパーやコンビニなどでも糖質カットやプロテイン配合をうたったパンのラインナップが増加。ベーカリーでも“週に1度の健康パンデー”や、“予約制の低糖質パン”など、無理のない範囲で導入する店舗が出てきています。
製法の工夫で「おいしさ+軽さ」を両立

低糖質パンに使われる食材としては、大豆粉や小麦ふすま(ブラン)などが代表的です。これらは糖質を抑えられる一方で、水分保持力が低くなりやすく、パサつきやすいという課題があります。
そのため、パン屋ごとの製法アレンジがポイントに。保湿効果の高い副材料や長時間発酵の技術などを組み合わせることで、「ふんわり・しっとり」した食感を保ちながら、満足度の高いパンに仕上げることが可能です。
また、乳製品や卵を活用することで自然と高タンパクな設計にできるため、特別な設備や大きな変更をせずに“付加価値パン”が作れるという点も見逃せません。
「売る理由」があるパンは、選ばれやすい

糖質オフや高タンパクという“機能性”は、パンの“選ばれる理由”になります。たとえば、
🍞夜勤明けの常連さんに「夜でも安心パン」
🥐スポーツをしている子ども向けに「おやつにおすすめの高タンパクパン」
🥖ダイエット中の方に「朝食代わりになるしっかりパン」
など、食べるシーンや目的に合わせた売り方をすると、より印象に残りやすくなります。実際、客単価がやや上がったという例や、新しい層の来店が増えたという声も。
こうしたパンは“数量限定”や“曜日限定”でも十分に価値を持ちます。リピートにつながりやすく、常連さんにとっては「今日はあれの日だ」という来店動機にもなります。
健康ニーズを「チャンス」に変えるために

低糖質・高タンパクなパンは、もはや特別なニッチ商品ではありません。健康意識が高まる今、こうしたパンは「選ばれる理由」になり、来店のきっかけや再訪の動機につながります。
一度に多くを変えなくても、まずは週に1日、あるいは1品だけ——そんな小さな一歩が、新たな客層との接点を生むかもしれません。食べたい気持ちに応えるパン屋であることが、これからの選ばれる店の条件のひとつになっていきそうです。