「パン+α」で 売れる仕掛けを

「パン+α」で 売れる仕掛けを 満足感のある“一食提案”が、価値と単価を高める
パンだけでは物足りない!と回答するパン好き主婦が、約6割いることがわかりました。
実はここに、売上を伸ばす“もう一品”のチャンスがあります。
「パンは好き。でも、家族にパンだけを出すのはちょっと…」
そんな声が、主婦層のアンケートから多く寄せられました。
これはネガティブな結果ではなく、「もう一品あったら嬉しい」と考える人がそれだけいるということ。
つまり、「+α」の提案次第で、パンと一緒に“もう一品”買ってもらえる可能性があるということなんです。
この特集では、そんな“あと一品”のニーズに焦点を当て、お客様のリアルな声とともに、売上につながるヒントをご紹介していきます。

Q1.「パンだけでは家族に出しにくい」 と感じたことはありますか?(n=332)

求めているのは主菜感と栄養感 ごはんになるパン提案のヒント
なぜパンだけでは物足りないと思わせてしまうのか?
アンケートから主婦の声を探りました。
Q2.パンだけでは家族に出しにくいと感じる理由は何ですか?(n=332)

Q3.パン屋で「パン+α」のセット提案があったら、買いたいですか?(n=332)

Q4.パン屋さんでパンを買うとき、ついでに「一緒に買いたくなるもの」はありますか?(n=332)

「パンだけでは、物足りないかも」 パン屋にとっての販促ヒントに
今回、主婦層を中心に332人へ行ったアンケートでは、53.9%が「パンだけでは家族に出しにくいと感じたことがある」と回答。
背景には「パンだけでは栄養が偏る気がする」( 69.3%)「主菜がないと食事として物足りない」(59.8%)といった声が多く、家庭できちんとごはんの一部としてパンを出すには、何かもう一品あることが安心感につながっているようです。
こうした意識を受けて、「パン+α」のセット提案に対して56.6%が「買いたい」と前向きな回答をしているのも注目ポイント。
実際に、パンと一緒に買いたくなるものとしては、「サラダやおかず」(51.5%)「スープやシチュー」(42.2%)「飲み物(牛乳・ジュースなど)」(35.2%)が上位に挙がり、食卓としての完成度を高めるものが求められていることが分かります。
パン屋さんにとって「あと一品の提案」は、決して大げさなことではありません。

たとえば、「食事パン+カップ入りのミネストローネ」
「フォカッチャ+惣菜サラダ」など、パンを一食として成立させる工夫。
それが、主婦の「これだけで今日の夕飯になる」「選ばなくて済む」といった安心感につながり、あと一品の売上になる可能性を秘めています。
また、店舗側にとっても、+α提案は在庫管理やロス対策にもつながります。
売れ筋パンと一緒に提案することで回転率を上げ、「この組み合わせが人気」という導線づくりも可能に。
小さな工夫が、来店体験の質を上げ、リピートや客単価アップに自然とつながっていきます。
この先のページでは、「では、どんな場面で+αが買われやすいのか?」「どんな商品が導入しやすいのか?」をさらに掘り下げてご紹介します。
パンの魅力を引き立てる“ひと工夫”が、お客様の喜びと売上の両立につながるはずです。
生活シーンから見える、 パン屋さんの+α提案チャンス
お客様がパンと追加で「+α」に手を伸ばしたいと考えるのはどんな時なのか、聞いてみました。
Q5.パンと一緒に+αを買いたくなるのはどんなとき?(複数選択可)(n=281)


売り場づくりのカギ

いつ、どんな時にパン+αが選ばれている?
「パン+αが欲しくなるのは、どんなときですか?」という質問に対して、最も多かったのは意外にも「一人で手軽に食べたいとき」( 65.5%)でした。
次いで「忙しい日(47.0%)」「家族の食事として用意したいとき( 34.9%)」と続いています。
編集部としては、「家族の食卓にもう一品」というニーズを想定していましたが、結果からは、“一人で食べるごはんを手軽に済ませたい” というリアルな声が圧倒的に多く、+αが活躍するシーンは、家庭向けだけに限らないことが見えてきました。
つまり、「今日はこれで済ませたい」「何も考えずに買いたい」というタイミングに、迷わず選べるセットや食事としての安心感があると、お客様の背中をそっと押せるのです。
「一人暮らし」「共働き」「子育て中」など、忙しい日常のなかで、パン屋さんが考えずに済む選択肢を提示することで、自然と手に取ってもらえる可能性が広がります。
パン屋さんで実現できる+α提案アイディア集
【1】“ あたためるだけ” スープセット

ターゲット:一人暮らし/共働き世帯/夕食難民
パン屋のメリット:
冷蔵+レンチンor ボイルで提供可能。ロスなし・売価設計もしやすい。
内容例:
・ハード系パン or フォカッチャ
・チルドパウチのスープ(ミネストローネ・クラムチャウダーなど)
・紙カップ or スープ用スリーブ付で提供
【2】“ パンのおとも” おしゃれ瓶セット

ターゲット:主婦・シニア層/朝を充実させたい人
パン屋のメリット:
ジャムなどは仕入れて並べるだけ。単価UP しやすく、ギフト展開も可能。
内容例:
・食パン or カンパーニュ(カット済み)
・ミニ瓶ジャム or スプレッド
・小さなカード型パンの食べ方レシピ
【3】“ サラダっぽくなる” デリパンセット

ターゲット:一人暮らし/女性ランチ
パン屋のメリット:
冷凍惣菜+小分け包装で、皿いらず・火入れ不要。朝詰めでOK。
内容例:
・ベーグル or チーズパン
・サラダや冷凍惣菜(フライヤーで揚げるだけのチキンなど)
・ドレッシング小袋 or タレ
【4】“ 子どものおやつ” セット

ターゲット:ママ層/子ども連れ
パン屋のメリット:
平日夕方の親子客向けに強い。
既製品中心で対応OK。
内容例:
・小さめのパン(クリームパン・あんぱんなど)
・牛乳 or りんごジュース
・焼き菓子 or おまけシール
実際に導入店に聞いた、 +α提案チャンスと売り上げ
+α提案で実際に売り上げを伸ばしているクロワッサン五井店の橋爪さんにお話を伺いました。

代表取締役社長 橋爪 謙典さん
クロワッサン五井店
〒290-0038 千葉県市原市五井西4丁目3-21
国道16号線沿いのロードサイド立地。
住宅街に隣接しており、近隣にはファミリー層が多く居住。
クルマでの来店が中心。
平日は主婦層、土日はファミリー・親子連れが中心。
まずは「揚げるだけ」「焼くだけ」の惣菜から

惣菜販売を始めたいと思っても、「すべて手作り」ではハードルが高すぎる̶̶。
クロワッサン五井店では、まず“ オペレーションの簡単さ” を重視してスタートしています。
例えば、フライドチキンや、ハリケーンポテトといった人気の惣菜は、冷凍食品を活用し、店内で“ 揚げるだけ”“ 焼くだけ” で提供。
スタッフの調理負担を抑えつつ、おいしさと出来たて感を両立しています。
また、在庫リスクにも工夫あり。
・夕方以降はあえて製造を止め、売り切りスタイルに徹する
・冷凍保存が効く商材を選び、ロスを最小限に
と、無理なく続けられる惣菜運営を実現しています。
「まずは1品からでもOK。
スタッフにも自分にも負担の少ない仕組みづくりが、成功のカギです」と橋爪シェフ。
本業であるパンづくりのクオリティを損なうことなく、+αの価値を上手に提供している好例です。
揚げたてを武器に、声かけであと一品

惣菜の販売は、ただ置くだけでは売れません。
クロワッサン五井店では、“ 揚げたて”という強みを最大限に活かし、タイミングと声かけを徹底しています。
たとえば、お客様が店内に並び始めたら、調理をスタート。
揚げ物は売り場に出すまでにおよそ5分程度。
揚げた直後に「フライドチキン揚がりました!」と声をかけることで、レジ待ちのお客様に自然と訴求できます。
さらにレジでは、「ご一緒にいかがですか?」と一声。
出来たての香りと勢いに後押しされ、手が伸びるお客様も多いそうです。
この仕組みの根底にあるのが、「焼きたて・できたて・揚げたて」の“3たて” 意識。
調理タイミングを工夫し、今まさに食べごろであることをPOP などでもしっかり伝えることで、商品価値を高めています。
こうした取り組みで、惣菜は“ついで買い”ではなく“ 食べたくなる一品” へ。
パンに加えて一品追加されることで、客単価は自然と+100~200円ほどに。
日々の売上にも確かな手応えが生まれています。