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5分でわかるパン・オ・ルヴァン ~歴史・起源・雑学~

パン・オ・ルヴァンの歴史と魅力を探る

いまや多くのブーランジェリーで定番となった「パン・オ・ルヴァン」。
酸味のある味わいと重厚なクラスト、そして何より“ルヴァン種”を使った発酵が特徴のパンですが、その背景には意外な歴史と、現代にこそ再評価されるべき理由があります。

本記事では、パン・オ・ルヴァンの起源と歴史、そしてシェフたちにも新たな発見があるような雑学を紹介します!

パン・オ・ルヴァンの起源と歴史

パン・オ・ルヴァン(Pain au levain)は直訳すれば「発酵種のパン」。
この“ルヴァン”とは天然酵母のことで、フランス語で「起き上がるもの=酵母」を意味します。

その歴史は驚くほど古く、起源は紀元前3000年の古代エジプトにまでさかのぼります。
小麦粉と水を混ぜて放置したら自然発酵して膨らんだ、という偶然から始まり、古代ローマ、ギリシャを経て、やがてフランスのパン文化に根付きました。

商業用イーストが登場するのは19世紀以降の話。
つまり、ルヴァンで発酵させたパンは、「パンの原点」そのもの。
その意味でパン・オ・ルヴァンは、“最も伝統的で最もナチュラルなパン”と言えるでしょう。

パン・オ・ルヴァンの製法と特徴

パン・オ・ルヴァンの最大の特徴はその保存性。
高加水で作っても、冷蔵庫なしで2~3日常温保存が可能なのはなぜでしょうか。

ポイントは乳酸菌の働きです。
ルヴァン種の中には、酵母だけでなく乳酸菌が共存しており、生地を酸性に保ちます。この環境下ではカビや雑菌の繁殖が抑えられるため、結果として日持ちするのです。
さらに乳酸菌によって生成される酢酸や乳酸は、パンの風味にも奥行きを加えます。市販のイーストパンには出せない、あの「噛みしめるほどに旨い」複雑な味わいは、まさにルヴァンの副産物。

つまりパン・オ・ルヴァンは、“古代の知恵”によって「おいしい × 長持ち × 添加物なし」を実現した、機能性の高い伝統パンなのです。

フランス人も困惑?「ルヴァン」はパンだけじゃなかった話

「パン・オ・ルヴァン」と言えば、日本ではしっかりしたハード系のパンを思い浮かべる方が多いですが、実は“ルヴァン”という単語、フランスではちょっとややこしいのです。

なぜなら、フランス語で「levain(ルヴァン)」は単に“発酵種”を指すため、「パン・オ・ルヴァン」という名前はフランスではあまり使われません。
「Pain au levain」とメニューに書いてあると、地方によっては「ああ、うちの田舎パンね」と言われることも。

さらにややこしいのが、フランスには「Levain(ルヴァン)」というプロ野球チームの名前みたいな町(※Le Vanne地方)もあるため、パンの話をしているのか地元の話なのか混乱することもあるとか。

ちなみに、フランスのスーパーで「levain」とだけ書かれた製品を買うと、パンではなく酵母そのものが入っている場合があるのでご注意を!

サクッとまとめ!

パン・オ・ルヴァンは、単なる「酸味のあるハードパン」ではありません。

現代では「ナチュラル志向」「食品ロス削減」「長期保存」という観点からも再評価が進んでおり、単に“おしゃれなハードパン”ではなく、食文化の未来にも貢献できるパンといえるでしょう。

この記事を通じて、パン業界の皆様にパン・オ・ルヴァンの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです!

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