5分でわかるシュトーレン ~歴史・起源・雑学~

シュトーレンの歴史と魅力を探る

ドイツ生まれのクリスマスの風物詩・シュトーレン。
その歴史は約700年前までさかのぼり、宗教・文化・食の進化が折り重なった奥深い存在です。
本記事ではそんな「シュトーレン」の魅力とともに、起源や歴史などの雑学を紹介します!
シュトーレンの起源と歴史

現在ではドライフルーツやナッツを練り込んだリッチなイメージのあるシュトーレンですが、14世紀のドイツでの始まりは意外にも質素そのもの。アドベント(クリスマスまでの4週間)には動物性の食品が禁止されていたため、バターやミルクの使用は御法度とされ、当時のシュトーレンは、小麦粉・酵母・水だけで作られた、まるでパンそのものだったといいます。
15世紀後半にドイツ貴族がローマ教皇に訴え、寄付金を払ってバター使用が許可されたことにより贅沢なバター入りシュトーレンが誕生しました。これが現代のリッチなシュトーレンの原型になったと言われています。
シュトーレンの製法と特徴

シュトーレンは「仕込んで熟成を待つ」非常に珍しいタイプのパンで、焼成後に1〜2週間ほどの熟成期間を置くのが一般的。そのため、生地は長期保存に耐えられるように含有量が多めの、バター・砂糖・洋酒漬けドライフルーツ・ナッツなどを混ぜた非常にリッチな配合となっています。
高脂肪・高糖分の配合は、水分活性を下げて保存性を高める効果があり、粉糖のコーティングは外気と光を遮断して乾燥や酸化を防ぎます。熟成中にバターや洋酒の香りが生地全体に行き渡り、カットするたびに香り立つのが魅力です。
まぶされた粉糖が象徴するもの

シュトーレンの形は、キリスト降誕の物語に登場する「雪に覆われた幼子イエスをくるむおくるみ」を見立てているという説があります。
また、表面にたっぷりまぶされた粉糖は、単なる保護膜ではなく白い雪景色に見立て、同時にその純潔さの象徴とされているなど、宗教的モチーフが隠れています。
歴史や物語性を知れば、販売の際に語れるストーリーが増え、お客様との会話が広がります。熟成による味の変化や日持ちの良さは、製造効率や売上確保にも直結します。
この冬、自店のシュトーレンに“物語”というもうひとつのスパイスを加えてみませんか?
サクッとまとめ!
シュトーレンは、単なる菓子パンではなく、季節感・熟成変化・物語性を兼ね備えた特別な商品です。パン屋にとっては、保存性の高さや事前仕込みのしやすさといった実務的メリットもあり、クリスマスシーズンなど冬の売上を支える存在にもなり得るのではないでしょか。
この記事を通じて、パン業界の皆様にシュトーレンの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです!