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5分でわかるカヌレ ~歴史・起源・雑学~

5分でわかるカヌレ ~歴史・起源・雑学~

カヌレの歴史と魅力を探る

外はカリッ、中はもちっと。
独特の“鐘型シルエット”と深い焼き色で人気を集めるカヌレは、パン屋の焼き場でもすっかり定番化したフランス菓子です。
しかし、その歴史をさかのぼると誕生は意外と古く、製法にも文化的背景にも「パン屋にこそ響く」ストーリーが隠れています。

本記事ではそんな「カヌレ」の起源や歴史、魅力とともにシェフたちにも新たな発見があるような雑学を紹介します。

カヌレの起源と歴史

カヌレのルーツは、フランス・ボルドー地方の修道院。
ワイン造りが盛んな地域では、清澄作業に卵白が大量に使われ、残った卵黄の活用方法が課題でした。
その“卵黄の行き場”として誕生したと言われるのが、原型となる「カヌレ・ド・ボルドー」です。

当時は、現在よりももっと素朴で小さな焼き菓子。
蜜蝋と銅型を使って強火で焼くことで、外皮はカリッと、中はもっちりとした独特の食感が生まれました。
近年こそカフェやベーカリーで定番化していますが、カヌレはあくまで“地方の郷土菓子”として生き続けてきた存在。

現代のカヌレ人気は、1980〜90年代にフランスのパティシエたちが再解釈して洗練させたことがきっかけ。
2000年代に入り、焼き菓子トレンドとともに世界へ広まり、日本でもパン屋やパティスリーの“ちょっと贅沢な焼き菓子”として再評価されました。

パン屋にとっての気づきは、**「歴史的に“余剰素材の有効活用”から生まれた菓子」**である点。
仕込みの流れの中で卵黄が余りやすいパン屋にとって、カヌレは素材ロス削減の視点でも相性のよい商品なのです。

カヌレの製法と特徴

カヌレの材料は、卵・小麦粉・砂糖・牛乳・バニラ・ラム酒といたってシンプル。
ところが、仕上がりは職人の“火の読み”で決まります。

最大のポイントは、
①生地を寝かせる時間
②蜜蝋(またはバター)と型の温度
③強火で焼き切る温度設計
の3つです。

まず、生地は一晩以上寝かせることで、ラムの香りが馴染み、粉がしっとりと水分を吸収。
その結果、内部のもっちりした“カスタードのような食感”が生まれます。

伝統的なカヌレは、銅型の内側に蜜蝋を塗って焼きます。
蜜蝋は“型用のコーティング剤”として使われ、カリッとした外皮を作るのに欠かせない存在です。
型をしっかり熱々にし、溶けた蜜蝋を均一に広げてから生地を流し込む。
この温度管理が外側と内側のコントラストを生み、カスタードのようなもっちりした内層と、深い焼き色のクラストが生まれます。

そして焼成。
高温で一気に焼き固め、その後じっくり火を通す――この強弱のつけ方でクラストの色、食感、香りが決まります。

パン屋の視点で見ると、カヌレは 「オーブンの癖を熟知した職人ほど上手く焼けるお菓子」。
火入れの感覚がそのまま味に反映されるため、自店のオーブン性能を最大限に活かせる“職人型焼き菓子”とも言えます。

実は「失敗から広まったお菓子」?

カヌレにまつわる面白い雑学がひとつ。

ボルドーの修道院の言い伝えでは、“焦げたように見える濃い焼き色”が特徴のカヌレは、**「焼きすぎを誤魔化したお菓子」**として始まったとも言われています。

修道女が「少し焦がしてしまった生地」をなんとか形にしようと銅型に流して焼いたところ、外側の香ばしさと中のもっちりが絶妙で評判になった――そんな、ちょっと笑える逸話が残っています。

つまりカヌレは、“完璧な菓子”ではなく、**「焦げと焼きムラをおいしさに変えた菓子」**なのです。

この話、実はパン屋にも刺さります。
“失敗に見えるものが個性になる”という発想は、ハードパンのクープ割れや食パンの山形にも通じるもの。
焼き過ぎも、焼成ムラも、時には商品価値になる――カヌレはその象徴といえるかもしれません。

この記事を通じて、パン業界の皆様にカヌレの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです。

5分でわかるカヌレ ~歴史・起源・雑学~

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