すべてはヴィエノワズリーのために。他の生地も温度帯を合わせるリシェの工夫

すべてはヴィエノワズリーのために。他の生地も温度帯を合わせるリシェの工夫
リシェの売場には、常に圧倒的存在感のヴィエノワズリーが並びます。その比率はなんと 全体の70%。美しさと食感を最大化するために、遠藤シェフは「温度」「発酵」「時間」の3つを極めています。

リターダーの氷温帯で発酵を止める・進める
ヴィエノワズリーの肝は、温度管理にあるそうです。
「伸ばすとき・折るとき・成形するとき。それぞれに適した温度がある。だから生地の発酵を一度止めたり、ゆっくり進めたりできる環境が欠かせません」と遠藤シェフは言います。
リターダーを氷温帯で使い、生地温度を一定に保ち、酵母の動きを自由にコントロールし、成形のタイミングを製造の都合で決められます。この仕組みによって、遠藤シェフのヴィエノワズリーは常に安定した美しさを保ちます。またヴィエノワズリーを中心に製造オペレーションを組み立てているので、他のパン生地も温度帯もヴィエノワズリーに合わせる工夫をしています。
「先日、ヴィエノワズリーの講習会をしていたときに、参加者のお悩みで、クロワッサンがうまく伸びないとか、バターが割れる、生地がボロボロになっていて切れてしまうという声がありましたが、だいたいが、温度管理ができていないや、冷えた状態で折り込めていないとか適切な環境でないことが原因になっていることが多いです」と遠藤シェフは答えました。

カットロスすら素材にする発想で無駄にしない
リシェはヴィエノワズリーが70%を占める商品構成で、製造オペレーションもヴィエノワズリーを中心に考えられていますが、それが無駄や非効率につながるということはありません。たとえば、クロワッサン生地のカットロスも無駄にしません。他のヴィエノワズリーの試作品を試すのに活用したり、カリカリに焼いて粉砕し、ヘーゼルナッツと混ぜてフィリングにします。
「むしろ、フィリングのために、端材がもっとほしいと思ってしまうこともありますよ」と遠藤シェフは笑いながら答えました。
どんな断片も、ちゃんとおいしさとして戻ってくる設計も、リシェならではの強さです
ヴィエノワズリーはパンとパティスリーの境界をつなぐ存在

遠藤シェフの技術や製造テクニックはパティスリー的な美意識が表れています。そんな遠藤シェフにパンの世界とパティスリーの世界について思うことを尋ねると
「ヴィエノワズリーはパティスリーに並ぶと更に素敵なお店になるんだろうなぁと思います。素敵なプチガトーの上に4品程のヴィエノワズリーがあるとお客様も楽しいですよね。冷凍生地を仕入れてでは無くお店で仕込み焼き上げたヴィエノワズリーの展開お手伝いできればなぁと思います」
とパティスリーと協業することにも積極的です。実際にリシェのパンオショコラはパティスリーのシェフから作ってもらい仕入れているそう。
パン職人とパティスリーの知見を交わしながら、ブーランジェリーとパティスリーは双方グレードアップできるのではないか、ヴィエノワズリーがその足掛かりになるのではないかと遠藤シェフは考えています。
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この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味
