5分でわかるスコーン ~歴史・起源・雑学~

スコーンの歴史と魅力を探る

スコーンといえば、紅茶とともに楽しむイギリスの伝統菓子として知られています。そのルーツや文化的背景、そして現代の多様なアレンジには、パン屋にとってヒントになるポイントが数多く隠されています。
本記事では、スコーンの起源と歴史、そしてシェフたちにも新たな発見があるような雑学を紹介します!
スコーンの起源と歴史

スコーンの起源は16世紀のスコットランドにまで遡ります。
当初は大麦粉を練り、鉄板や石の上で焼く素朴な「無発酵パン」に近いものでした。現代のスコーンのようにふっくらとした形状とは異なり、硬めで素朴な食感が特徴です。
19世紀頃からベーキングパウダーの普及により現在の形に進化。これが「アフタヌーンティー」と結びつき、上流階級の社交の場に欠かせない存在となりました。つまり、スコーンは「パンから菓子への橋渡し」を象徴する存在でもあるのです。
スコーンの製法と特徴

スコーンはパンと焼き菓子の中間という絶妙なポジションで、パン屋の商品ラインナップにも取り入れやすい製法や特性が強みです。
工程は材料を練らずにまとめるだけで、ベーキングパウダーを膨張剤として使用するため、無発酵というラミネーション不要の手軽さが魅力です。そのためオーブンの空き時間や、パン生地の発酵時間などを利用して仕込みができるところもパン屋にとって利点ではないでしょうか。
工程だけでなく材料もシンプルでアレンジ性が高く、現在では日常的なおやつから贈答用まで展開しやすい商品として需要を高めています。
イギリスから世界へ広がるティータイムの象徴

イギリス文化の中で「アフタヌーンティーの主役」として欠かせない存在のスコーン。19世紀に英国貴族の社交場としてアフタヌーンティーが広まり、そこで提供されるスコーンは“品格のあるおやつ”として親しまれてきました。特にクロテッドクリームとジャムを添えるスタイルは、今でも伝統として守られています。
そんな伝統あるスタイルですが、イギリスでは地域ごとで食べ方の違いをめぐる論争も文化の一つとして知られています。
・デヴォン派:クリームを先に塗って、上からジャム。
・コーンウォール派:ジャムを先に塗り、その上にクリーム。
この“どちらが正統派か”をめぐる論争は、王室でも議論が巻き起こるほどの国民的トピックで、2018年にはエリザベス女王が「ジャム先派」として話題にもなりました。
現在はイギリスだけでなく世界中で愛される存在のスコーン。気軽に買える手軽なおやつとして幅広く展開され、“アフタヌーンティー文化”がカジュアルに日常へ浸透しています。
サクッとまとめ!
スコーンは、製法が簡単でありながらアレンジ性が高く、パン屋のサブアイテムとして非常に優秀な存在です。イートイン向けやテイクアウト、焼き立て・冷凍ストック販売と、販売シーンの幅広さも魅力。
売り場を演出すれば、日常的なおやつから贈答用まで展開しやすい商品として、新たな客層を取り込むきっかけにもなります。
この記事を通じて、パン業界の皆様にスコーンの魅力を再発見し、新たなインスピレーションを得ていただければ幸いです!