家賃が経営を圧迫しない立地選びの考え方
「せっかく繁華街に出店したのに、家賃ばかり高くて手元にお金が残らない」というお店があるかもしれません。
特に小規模パン屋にとって、家賃は最も重たい固定費の一つ。
本記事では、家賃と売上のバランスの考え方や場所選びの判断基準を、実例や目安を交えて分かりやすく解説します。開業前・移転前に参考にしていただけると嬉しいです。
「理想の家賃比率」は?月商に対して家賃が占める割合を知る

家賃は固定費の中でも最も重く、経営に大きな影響を与えます。
目安としては、家賃は売上の10〜15%以内が理想的。
例えば、月商100万円の店舗であれば家賃は10〜15万円程度に収めたいところです。
ただし、「売上が上がるなら多少高くても…」と考えてしまいがち。
実際には、高い家賃=高い売上につながるとは限らないのが現実です。
家賃が売上の3割、4割を超えてしまうと、利益がほとんど残らなくなります。
繁華街は本当に“儲かる”のか?立地のメリット・デメリット
繁華街は本当に“儲かる”のか?立地のメリット・デメリット
たしかに繁華街は人通りが多く、認知もされやすい立地です。
しかし、パン屋さんにとっては以下の点に注意が必要です。
《繁華街立地のメリット》
• 通勤・買い物ついでの集客が見込める
• オフィス街なら平日ランチ需要あり
• 注目を集めやすく、SNS拡散効果も期待
《デメリット》
• 家賃が高騰しやすい(例:月30万円〜)
• 客層の流動性が高く、固定客化が難しい
• 焼成・補充タイミングがピークに偏ると回転効率が悪化
パン屋は「毎日通ってもらう店」であり、「ついで買い」の比率も高い商売です。
派手さよりも、生活圏に根付ける場所の方が、売上が安定することが多いのです。

パン屋に適した「地味に強い立地」の見極め方
繁華街ではない=集客がしづらく、売れないではありません。
「住宅街×個性派ベーカリー」のような店舗が支持を集めていることもあります。
パン屋に向いている立地の例:
• 幼稚園・小学校が近く、子育て世帯が多い住宅街
• 駅徒歩圏内の幹線道路沿いで駐車スペースがある場所
• 商業施設のすき間立地(大型スーパーの裏手など)
• 古い商店街内の低家賃物件(リノベして話題性UP)
お店の戦略や客層を考えてみて実際にどれくらいのお客様が来店しそうかを考えてみましょう。
家賃で損しないための“3つのチェックリスト”

出店候補地を見つけたら、以下の視点で冷静に検討しましょう
- 売上シミュレーションは現実的か?
→ 想定客単価×客数で、毎日の目標を算出。そこから家賃比率を確認。 - 家賃以外のコストは?
→ 共益費、管理費、看板・改装など“隠れコスト”を把握。 - 物件のポテンシャルはあるか?
→ 焼きの香りが届くか?外観の印象は?リピーターが付きそうなエリアか?
このチェックを怠ると、「オープンしたのに赤字続き…」という悲劇にもなりかねません
まとめ
パン屋の家賃は、ただ安ければ良いという話ではありません。
大切なのは、「家賃に見合った売上が本当に見込めるか」という視点です。
数字だけでなく、地域の暮らしや客層、日々の動線までを読み解く力が、繁盛店を生み出します。
開業・移転を検討するすべてのオーナーさんに、「立地選びは未来の利益を決める投資」だという視点を持っていただけたらと思います。
職人のホンネを聞いてみました!
アプリ限定コンテンツ「職人のホンネ」
業界人同士でも聞きづらい
リアルな口コミやノウハウが覗ける
参加型コンテンツ

この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味