小さなパン屋のための「業務マニュアル化」のすすめ
──“属人化”をなくせば、もっと楽になる。
「この作業、〇〇さんじゃないとできない」
「新人が入っても教えるのに毎回バタバタする」
そんな悩みを抱えるパン屋さんにこそ必要なのが、業務のマニュアル化”です
この記事では、小規模店舗でもすぐに取り組める、簡単で実用的なマニュアルづくりの手順と効果を紹介します。少人数運営の負担を減らし、クオリティを安定させる第一歩です。

マニュアル化は“大きな店の話”ではない。小さな店にこそ必要な理由
パン屋のような手作業の多い現場では、「感覚で覚える」ことが多くなりがちです。
でもそれが属人化を生み、“特定の人がいないと回らない”状況をつくります。
マニュアル化すると…
• 誰がやっても“同じ品質・同じスピード”で業務を進められる
• 教育の手間とミスが減る(新人にも対応しやすい)
• 店主不在時も安心して任せられる
• 効率的な業務改善の“見える化”ができる
小さな店ほど、「人が辞めたら終わり」にならないための備えが必要です。

まずはここから!パン屋でマニュアル化すべき業務リスト
すべてをマニュアルにしようとすると挫折します。
まずは、「頻度が高く」「ミスが起こると困る」作業から着手しましょう。
優先度の高い業務例:
• レジ操作・会計の手順(釣銭・カード対応など)
• 仕込み作業の手順(材料の順番・注意点など)
• 焼成の設定・タイミング(温度・時間・焼き色の基準)
• 開店前・閉店後の掃除・発注作業
• POPやプライスカードの作り方・出し方
慣れてきたら、「1日業務の流れ(時間軸)」マニュアルを作ると、さらに効果的です。

“紙1枚”から始めてOK!マニュアル化の手順とコツ
完璧を目指す必要はありません。
以下のように、簡単な手書きからでも十分に効果があります。
- 作業ごとに「目的」「手順」「注意点」の3点を書く
例:
【目的】あんぱんの包あんを均一にする
【手順】1. 生地を○gに分割/2. あんこを○g計量/3. 中央から包む
【注意点】あんこが生地から出ないように2回巻く - スマホで作業中の写真を撮って、貼り付ける
→ 文章より写真のほうが伝わりやすい - 「貼ってある場所」を決める
→ 製造場の壁、レジ台下、洗い場など“必要な場所に必要な情報” - スタッフの意見をもらいながら随時アップデート
→ 固定化せず“育てるマニュアル”にするのがポイント
マニュアル化は“ラクをする”ためではなく、“続けるため”の手段
業務マニュアルは、単なる手抜きではありません。
これは“店を守るための仕組み”です。
• 店主が不在でも、同じ品質で商品が並ぶ
• 繁忙期でも、新人が一人前に近づくスピードが速くなる
• トラブルやクレームも、「確認できる基準」があることで防げる
結果的に、精神的な負担が減り、店全体が落ち着いて動けるようになります。
まとめ
「小さな店だからこそ、マニュアルなんていらない」
ではなく、「小さな店だからこそ、マニュアルが必要」なのです。
今日から、A4一枚でOK。写真と箇条書きだけでも大丈夫。
まずは“誰かに教えたい作業”を1つ、紙に書き出すことから始めてみませんか?
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この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味