毎日の仕込みで、どうしても出てしまう「パンの耳」「売れ残り」。
「もったいない」と思いながらも、泣く泣く廃棄しているパン屋さんは多いはず。
でも――そのパン、ビールにできるって知っていましたか?
いま、食品ロスを逆手に取った“パンのクラフトビール化”が、業界の間で静かに注目を集めています。
■ 廃棄されるパンに、酵母の魔法をかける

パンとビール。まったく別のジャンルのようでいて、じつはどちらも「穀物を発酵させてつくる」仲間です。
この共通点に着目し、廃棄予定だったパンをビールの原料に“再発酵”させるというアップサイクルな取り組みが、国内外で少しずつ広がり始めています。
たとえば、神奈川県のとある老舗パン店は、毎日出るパンの耳を使い、自社の名を冠したクラフトビールを開発。
また、シンガポール発のフードテック企業「CRUST JAPAN」は、賞味期限が近づいた食パンを原料とした「CRUST LAGER」を展開し、ビール業界の注目を集めています。
「パン屋の耳を、地球が笑うビールに変える。」
この発想、ちょっとワクワクしませんか?

廃棄コスト→ブランド価値へ。“もったいない”は売れる時代

製造過程で避けられないパンのロス。特に「パンの耳」や「販売期限切れ商品」の扱いに悩むお店は多いでしょう。
焼き菓子やラスクに再利用する例もありますが、毎日出る量には限界が。
そんな中、クラフトビールという“全く別のジャンル”への展開は、商品ラインナップの幅を広げるどころか、「サステナブルなお店」としてのイメージアップにもつながります。
🌟廃棄コストを利益に転換できる
🌟話題性が高く、集客やPRに有利
🌟地域のブルワリーとコラボすれば新たな販路・関係性も
パン×ビールのコラボは、単なるロス対策にとどまらず、“看板商品”になり得る可能性を秘めているのです。

「ウチでもやってみたい」を現実に。はじめの一歩とは?

“パンをビールにアップサイクルする”という試み。話題性もサステナブル性もあるけれど、「実際にうちの店でできるの?」という疑問も当然あるでしょう。
実は、この取り組みを形にしているお店の多くは、クラフトビールの醸造所とタッグを組み、パン屋は“素材提供+ブランド協力”、ブルワリーが“製造と商品化”という形で進めています。
委託醸造(OEM)に対応しているブルワリーは全国に増えており、ラベルデザインやストーリー設計まで一緒に取り組んでくれるケースもあります。パン屋としては、“捨てていた素材に新たな役割を与える”という価値提供の視点からスタートできるのです。
まずは、以下のような観点から“始めるきっかけ”を探ってみてはいかがでしょう?
地元でOEMに対応するブルワリーをリサーチ
仕入れや廃棄の中で「ロスが出やすい素材」を見直す
コラボ商品として販売できる場(イベント、ギフト、EC)を想定して企画を練る
大事なのは、「全部自前でやる」ではなく、「得意な人と組んでみる」という発想。
パンの耳が、地域を巻き込んだ“新名物”になるかもしれません。

毎日焼いて、売って、でも残る──
パン屋にとっては当たり前の営みの中に、まだ“価値化できる資源”が眠っています。
「売れ残り」が「売れ筋商品」に変わる時代。
あなたのパン、次は“飲まれる”番かもしれません。