朝食の定番として根付いているパン。でも夕食にパンを食べる人は、実は少数派。そんな中、夕食にもパンを楽しむ「晩ごパン」という新しい食のスタイルが、じわじわと注目を集めています。パン屋にとっては、新たな市場を切り拓く絶好のチャンスかもしれません。
“パン=朝食”のイメージを崩せるか?

日本では「朝はパン派」が主流。ある調査では、朝食にパンを食べる人は59.7%と、ご飯派を上回る結果も出ています(PR TIMES調べ)。一方で、夕食にパンを食べる習慣は根付いておらず、消費者の多くが「パンは軽食や朝食向け」という固定観念を持っています。
こうした現状を打破しようと、パン業界では“夕食パン”の提案に動き始めています。そのキーワードとなるのが「晩ごパン」。つまり、晩ごはん×パンという新しい食のスタイルです。
「主食」としてのパンを再定義する

「晩ごパン」を実現するには、パンが“おかずに合う主食”として成立することが前提です。そこで注目されているのが、バゲットやカンパーニュなどのハード系パン。噛み応えがあり、おかずとの相性もよく、シチューやスープはもちろん、和食に合わせたアレンジも提案されています。
例えば、全粒粉パンに和風だしを効かせたチキンソテーを組み合わせたり、ライ麦パンに味噌漬けの野菜を挟むなど、意外な“和×パン”の組み合わせが開発されています。
また、糖質控えめのパンや高タンパク・高食物繊維のパンを使うことで、健康志向の夕食メニューとしても価値を高めることができます。
パン×お酒で広がる「夜のパン」需要

さらに近年注目されているのが、「パン×お酒」の楽しみ方。「パン飲み」という言葉も登場するなど、パンを“おつまみ”として楽しむ提案が広がっています。
例えば、ワインに合うチーズパンや、ビールと好相性のカレーパン、スパイス系フォカッチャなど。パンそのものに味や個性を持たせることで、お酒とのマリアージュが成立します。
これらの流れは、パンの消費時間帯を広げ、夕方以降の購買ニーズを喚起する大きなチャンスになります。日中の販売に偏りがちな街のパン屋にとって、売上の“もう一の矢”になる可能性も秘めています。
まとめ
“パンは朝だけ”という固定観念を覆す「晩ごパン」の提案は、これからのパン業界にとって大きなヒントとなるかもしれません。主食としての提案、食事との組み合わせ、そして夜の時間帯へのシフト。ちょっとした発想の転換が、新しい顧客との出会いを生むかもしれません。
【参照元URL】
・【レポート】4月12日はパンの日 ご飯文化の日本で広がるパン食の新潮流
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