原価率を改めて考えよう!小さなパン屋のための仕入れ最適化術
パン屋経営の生命線ともいえる「原価管理」。特に小規模店舗では、材料費が売上の3〜4割を占めるケースも多く、利益確保のためには“仕入れの見直し”が不可欠です。本記事では、原価率を30%以下に抑えるための具体的な方法と考え方を、すぐに取り組める実践アイデアと共にお届けします。
ベーカリーの収益構造から考える原価率

一般的なパン屋の利益構造では、原材料費が全体コストの約30〜40%、人件費や家賃などの固定費が50%前後、そして純利益は10〜20%程度。つまり、材料費の1〜2割を削減できれば、利益が倍増する可能性もあるということです。売上を上げるのはなかなか苦労するかもしれませんが、仕入れを見直すのはやろうと思えばすぐできます。
仕入れ見直しの第一歩:メイン食材の見直しと比較見積もり
最も使用量が多い「小麦粉」「バター」「チーズ」などの主原料こそ、価格差が大きく経営に直結します。以下のアクションが有効です
• 地元製粉会社や問屋と価格・ロット条件を定期的に見直す
• 別ブランドや代替原料のサンプルを取り寄せ、試作と比較を行う
• 一括仕入れや共同仕入れ(近隣店舗との提携)で交渉力を強化する
特に、同じ「強力粉」でもメーカーごとに吸水性や風味が違うため、価格と品質のバランスを見極めることが大切です。

原価管理するために、「商品別原価表」をつくってみてもOK
仕入れ価格の管理は、在庫や使い切りロスの観点でも重要です。おすすめは「商品別の原価表」を作ること。
• 1個あたりの原価(主要材料・副材料・包材など)を算出
• 売価に対する原価率を出し、目標(例:30%)と比較
• 利益率の悪い商品は「仕込み量を減らす」「価格を見直す」などの判断材料に
月1回でも見直す習慣をつければ、無駄な材料費の積み重ねを防げます。
「原価は下げすぎず、価値を高める」戦略でリピートを狙う
ただ安い材料に切り替えるだけでは、品質低下でお客様が離れるリスクも。
大切なのは、“コストを抑えながらも美味しさや独自性を保つ工夫”です。
• 使用量を抑えつつ、味の印象を残す素材使い(例:香り高いナッツをトッピングだけに)
• 地元産・季節限定など、ストーリー性を加えて“価格に見合う価値”を演出
• 高単価商品には「限定感」「個包装」などを加え、プレミアム価格を納得させる仕掛けを
まとめ
原価率を下げるには、仕入れ価格の交渉だけでなく、「材料の選び方」「商品の構成」「価値の伝え方」までを含めた戦略が必要です。毎月1%の原価削減が、年間で大きな利益につながると意識して、まずは「商品原価の見える化」から始めてみませんか?
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原料高騰にはシェフも頭をなやませているようですね。
この記事を書いたライター

株式会社グロ―アップ編集部
加納 麻衣
インタビュー相手の魅力を発見するのが得意。
「どんな人にも物語がある!」をモットーに丁寧に伝えていきます。
小説を書くことが趣味