「ブレずにパン作りを続けられる場所」
自分のやりたいパンを続けるために
「東京は情報も人も多くて、流行や競争の中で、いつの間にか自分が大切にしているパン作りができなくなると感じました。だからこそ、自分のやりたいことをブレずに続けるには、鹿児島だと思ったんです」
そう語るのは、鹿児島市武岡でベーカリーTAK BAGERIMELを営む上原力さん。
東京で11年間の修行を経て、30歳を前に選んだ独立の地は、あえての地元・鹿児島。夫婦とスタッフを合わせた5人という体制で、日々60種類以上のパンを焼き上げている。
使用する生地は約15〜20種類。仕込みは朝5時半から始まり、パンが並ぶ時間に合わせて全体の作業が組み立てられている。
以前はそれよりも早い時間から動いていたが、体力面や継続性を考慮し、現在は少人数でも無理のない体制を築いている。
一方で、上原さんのパン作りは、効率や仕組みから始まったわけではない。
知人の店で出会った本場のパネットーネに衝撃を受け、どうしても作りたいという想いだけで、イタリア語の文献を翻訳アプリで読み解き、1年以上試作を重ねて完成させた。
「難しいけど、それでも作りたかったんです」と当時を振り返り語るように、原点にあるのは純粋な衝動だ。
2024年には、パネットーネ・チョコレート部門の国内選考会で優勝し、日本代表として世界大会への出場が決定。
理想を守るための挑戦と、続けられる形への工夫。上原さんのベーカリーには、その両方を見つめる眼差しが息づいている。
「少人数でも理想を形にする」
限られた人数でも自分が作りたいパンを満足いく仕上がりにするために
コンド / CO2.1208 キューブ・エア / CBA 5.0406
うちのパンは、ほとんどこのコンドでまかなっていて、本当に欠かせない存在です。
2段あるので、焼き上がりのタイミングや、作業の流れに合わせて、段を使い分けることが多いです。
個人的に気に入っているのは、やっぱりガラス扉で中がしっかり見えるところですね。
仕事しながらでも焼き色を確認できるので、タイミングの微調整がしやすくて助かっています。
一方で、クロワッサンや焼き菓子はキューブ・エアで焼いています。熱風の回転が切り替えられ、焼きムラが出にくいのがすごく助かっていて、パリッとした仕上がりも出しやすいです。
パネットーネもコンドとキューブ・エアとで焼き比べしていて、「どっちがうちの仕上がりに合うか」を探っているところです。
マイティS50/30 / MS-50/30
パン生地はもちろん、メロンパンの皮やクッキー生地、クリーム系のフィリングまで全部このミキサーで仕込んでます。
大きなボウルと小さなボウルがどちらも使えるので、少量でも大量でも対応できるのが便利です。
ドラゴンフックだと、硬めのベーグル生地でも巻き上がらずにしっかり練ってくれるのでとても良いです。
前に使っていた普通のフックだと、上に巻き上がって止めて調整するといった手間がありましたが、それが一切ないです。
オート機能も付いているので、途中で止めてスピード切り替えをしなくていい。
他の作業をしながらでも、狙った状態に仕上がるのが本当にありがたいです。
スーパーシーター / SFE500
パイ生地やデニッシュ、クロワッサンなどの折り込み系の生地は、全部このシーターを通しています。
ローラー幅が広く、厚い生地でもしっかり延ばせるので、麺棒は一切使わなくなりました。
冷やす前に一度シーターを通しておくと、生地の厚みが均一になって冷え方も安定し、次の作業にも移りやすくなり助かっています。
特に、折りたたんだ後は一番生地が分厚くなりますが、それにもちゃんと対応できるのが良いですね。
スピードが2段階で変えられるのも便利で、折り込み系はゆっくりめで丁寧に。ピザ生地は速めに一気に通す。
機械の扱い方を自分の作業に合わせられるというのがありがたいです。
少ない人数を補う相棒とともに
修業時代から、愛工舎の機械はよく目にしていました。
使っているお店も多くて、自然と「いつか自分の店を持つなら、ここにお願いしたいな」と思うようになっていました。
当店は製造のスタッフは私含め2人の体制で、日々の製造を回しています。だから機械を選ぶときは、機能はもちろん、人の代わりになってくれるかという視点が大きかったですね。
ミキサーもオーブンも、気に入っているのは「任せられる」と思える安心感。つきっきりで見ていなくても、安定していて信頼できます。
工程が多いパンもありますし、並行して動いている仕事が多い中で、そういう任せられる存在があるのは本当にありがたいです。
また、オーブンを見せたいという気持ちもありました。
パン屋は厨房も店づくりの一部。焼いている様子が見えることで、お客さまにもワクワクしてもらえたらいいなと思っています。
その点でも、愛工舎のオーブンは理想的でした。
何より、使っていてストレスがない。そういう意味で、愛工舎の機械は道具ではなくて、相棒みたいな感覚がありますね。
Shop Data
TAK BAGERI MEL（タック バゲリ メル）
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●所在地：鹿児島県鹿児島市武岡4丁目20－1
●立地：鹿児島本線「鹿児島中央駅」から車で10分
●従業員：5人（販売2名・製造2名・兼任1名）
●客単価：平日 1,800円
●オーブン台数：2台
●ミキサー台数：2台
●パンの種類：60種類（生地15～20種類）
