「コンビニのパンは袋パンだけじゃない時代に」——セブン‐イレブンをはじめとした大手コンビニが、店内で焼き上げるパンの販売を急拡大しています。
この動きが、街のパン屋さんにとってどんなヒントになるのか?午後の空き時間を狙った新しい“焼き立て戦略”に迫ります。

焼き立てパンで“午後の空白”を埋めるコンビニの発想
“1000店→3000店”へ——セブンの勝負ポイント
2024年、セブン‐イレブンは店内調理の焼き立てパンを提供する店舗数を、全国で約1000店から3000店に大幅増強することを発表しました。
これまでのパン棚に並ぶ袋入り菓子パン・調理パンだけでなく、焼き立てクロワッサンやメロンパンなどを店内で追加。
これにより、「午後の小腹満たし」「夜勤前の買い足し」など、特に女性客や仕事帰り層の需要を掘り起こす狙いがあります。
街のパン屋さんにとってのヒントとは?

焼き立てパンをどの時間帯にどのターゲットに売るか——これは街のパン屋でも通じる大きなヒントです。
例えば…
「午後にだけ焼くパン」を決めている店
夕方の“帰宅客向け”のリッチ系菓子パンを追加する店
小規模店でもオーブンを活用して、香りで“通り客”を呼び込む店
すでに都市部の一部では、こうした戦術で午後の売上を引き上げているベーカリーもあります。
コンビニのように大量に仕込む必要はなく、「午後の1時間だけ焼き立てが並ぶ特別感」が来店動機になることも。
“近い×すぐ買える”に勝つために

もちろん、コンビニは立地・回転率・人流で有利です。
ただ、パン専門店には「店でしか味わえない素材感」「地域に合わせた季節パン」「職人が焼いている実感」といった強みがあります。
「家に帰る前にコンビニで買うか、ちょっと足を伸ばしてあの店に行くか」
この小さな選択を、自店の強みでどれだけ取れるか。
そのためには「時間帯」「誰に売るか」「何を焼くか」の三拍子をセットで考えることが、コンビニの動きから見えてきます。
まとめ:焼き立てはやっぱり“価値”になる

コンビニが“焼き立て”に再投資するのは、それだけ焼き立ての香りと体験が消費者の心を動かすからです。
「午後の棚が空っぽになるから仕方ない」と思われがちな時間帯こそ、売上アップのヒントになるかもしれません。